エピソードガイド７ - スパイドラマ倶楽部別館

スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館

エピソードガイド７

156 王冠すりかえ大逆転 Imitation

【目的】盗まれた王冠を奪回し、３日後に迫った展示期日に間に合わせること
【指令】おはよう、フェルプス君。　国連ビルに展示するためわが国に持ち込まれたマンスバーグ国の王冠と、それに付随する宝石一式が昨日、同国領事館から国連ビルへの途中で強奪されてしまった。宝石だけでも時価一千万ドルは下らないとされているが、王冠というものの性質上金には換えがたい価値がある。警察ではこの強奪事件の背後にはジェナ・コールがいると見ているが、まだ何の手がかりも掴めていない。
　そこで君の使命だが、王冠を奪回し３日後に迫った展示期日に間に合わせることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。　成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: エドワード・J・ラクソEdward J Lakso
製作: バリー・クレーンBarry Crane
監督: ポール・クラズニーPaul Krasny
【ゲスト出演】
ジェナ・コール：バーバラ・マクネアBarbara McNair as Jena Cole
ブーマー：パーネル・ロバーツPernell Roberts as Boomer
スティーヴンス：チャールズ・マグローCharles McGraw as Stevens
エディー：サルマス・ラスララThalmus Rasulala as Eddie
ハニー：アルフォンソ・ウィリアムスAlfonso Williams as Honey
応接係：オラン・ソウルOlan Soule as Desk Clerk
ダンソン：ルー・ブラウンLew Brown as Dunson
メロン：オスカー・ベレジ・ジュニアOscar Beregi Jr. as Mellon
ドゥヴァル：レイ・ボラード　Ray Ballard as Duval
【場所】①指令（媒体）：振り子時計の置いてある机の引き出しの中からオープンテープレコーダーを取り出す
②舞台：マンスバーグ国領事館（アメリカ国内）
【役割】ジム：マーシャンド
バーニー：チャーリー・ケニヨン
ウイリー：ジェラルド・カーターを催眠針で刺す→王冠の運び屋
ドゥヴァル：ジェラルド・カーターに変装
【道具】①マンスバーグの王冠と宝石のイミテーション
②金庫内の組み合わせナンバーを読みとる装置
③探知電波を発生するアタッシュケース
④催眠針
⑤センサーのふた
⑥爆薬テープ
⑦金庫室の扉を開ける装置
⑧ダイヤル番号を探るテスター
【見所】（01分30秒）輸送車を襲い、催眠ガスで警備員を眠らせ王冠を奪うジェナの一味
（07分30秒）ジェナの弟ジェフが電気椅子で処刑にされたことをジェナに話すバーニー
（12分30秒）金庫の中の手提げ金庫に入れてあった１万２千ドルがなくなっていることに気づくジェナ
（17分10秒）車に乗ってジムに銃を突きつけるドリフは、ジェナのところに連れていく
（19分50秒）盗んだ王冠が偽物で、本物は本日届くということを知るジェナ
（23分20秒）ジェナはバーニーを呼び、１万２千ドルの使い道を知り、私たちはパートナーと言う
（35分30秒）予定より早く到着する警備員に、慌てて金庫室に入るバーニー
（37分30秒）ジェナの前に王冠を見せ、ジムに電話するバーニー
（43分00秒）バーニーが本物の王冠を持ってきたことを確認するＩＭＦメンバー
（43分40秒）ガラスだよと鑑定士から言われ、そんな、何かの間違いよと言い訳するジェナ
【疑問点】①ジェラルド・カーターに変装した協力者は何者だろうか？
【粗筋】バーニーはジェナの弟の刑務所仲間ということで、ジェナのところを訪ねる。ジェナの弟ジェフが電気椅子で処刑されたことを話し、８００ドル貸して欲しいとバーニーは頼む。そして、ジェナが金庫を開けると、バーニーは金庫のダイヤル番号探知機で受信するのだ。ジェナは返す時は９６０ドルでと告げて、バーニーに８００ドルを渡す。バーニーが帰ってから、ジェナは金庫の中の手提げ金庫に入れてあった１万２千ドルがなくなっているのに気づき、指紋からバーニーが犯人と判明する。そして、バーニーの部屋で領事館の図面やダイヤル受信機などを発見し、バーニーを訪ねてきたジムを尾行する。一方、ウイリーは鑑定士のジェラルド・カーターに近づき、催眠針を刺して倒し、ＩＭＦメンバーのドゥヴァルとすり替わる。ジムを尾行していたドリフは、車に乗ったところで銃を突きつけ、ジェナのところに連れていく。ジムはバーニーに大金を貸しているとジェナに説明する。その後、ウイリーは本物の王冠は本日着くという内容のテレタイプを領事館に打ち、これを見たダンソンはジェナに知らせ、ジェナは宝石鑑定士のジェラルド・カーター（ドゥヴァル）のところで鑑定を受けるが、全部偽物と鑑定される。ジェナはバーニーを呼んで、１万２千ドルの使い道を知ったので私たちはお互いパートナーと言い、バーニーも了解する。ウイリーは王冠を領事館に運んで金庫室にしまい、大使らに金庫室に触らないように告げて帰る。バーニーは段取りにつきジェナに説明した後、故買屋のジムに渡して換金すると告げ、二人はキスをするのだ。その夜の２時、バーニーはマンスバーグ国領事館に侵入し、金庫室の前で扉を開け、ダンソンが見守る中、ダイヤル番号を探るテスターで番号を当て、王冠のケースごと盗み出すのだ。そして、ジェナに成果を見せ、ジムに金を用意しておけとバーニーは電話をする。これに対してジェナはどうにかならないかと言い、愛していると迫るのだ。しかし、バーニーが断ると、"仕事は惚れたはれたとは別ね"と告げ、ジェナは一杯だけ乾杯したいと言って、王冠はブーマーに見張らせ、バーニーを別の部屋へ連れていき、ブーマーは王冠をすり替えるのだ。そして、バーニーに待ってるわと送るジェナである。待機している車内では、バーニーが本物の王冠を持ってきたことを確認するＩＭＦである。一方、ジェナは鑑定士にガラスだよと言われ、そんな、何かの間違いよと言い訳をするが、そこへ警官隊が突っ込み外で待機していたバーニーの顔を見るジェナだった。
【解説】この「王冠すりかえ大逆転」がアメリカ初回放映時の最終回に選ばれた。選ばれたというよりも最終回になってしまったという方が適切な表現かもしれない。どうやら製作サイドは第８シーズンの準備をしていたものの、急遽、第７シーズン限りで放送打ち切りが決まったようだ。そのためか最終回の体裁は備えていないし、恐らく「王冠すりかえ大逆転」は製作上の都合で第７シーズンの最後にもってこられたのだろう。当然のことながら、この時期産休中のケーシーも登場しない。
　女悪漢のジェナ首謀により一千万ドルは下らない本物の王冠が盗まれてしまったが、ＩＭＦはジェナの盗んだ王冠は偽物と思わせる作戦を展開する。任務の性格としては、敵に本物の情報が盗まれたのを偽物と思い込ませる第３シーズンの「二重スパイをでっちあげろ！」と似ていると思うが、盗まれたものが情報と王冠の違いからか、ＩＭＦの取る作戦は全く異なるものになっている。
　ＩＭＦは大きな三つの作戦をジェナの前で展開する。まず、バーニーがジェナの死刑にされた弟の囚人仲間という触れ込みで現れ、金庫の金を盗んで領事館の図面やダイヤル受信機を発見させる。一方、ウイリーは本物の王冠を運ぶ旨領事館にテレタイプを打ち、この情報を得たジェナは王冠の鑑定を依頼するが、鑑定士はＩＭＦメンバーが変装しており、全部偽物と鑑定するのだ。そこで、困ったジェナはバーニーに領事館の王冠を盗むように頼むというシナリオ通りの展開となる。
　無事王冠を盗んだバーニーにジェナは愛しているから譲って欲しいと迫るが、バーニーはジムに渡さなければならないと断る。仕事は惚れたはれたとは別ねとジェナは告げ、さらに、バーニーに一杯だけ乾杯したいと言って別室に連れて行く。その隙にジェナの手下が王冠をすり替えるのだ。そして、別れ際にジェナはバーニーに待ってるわと見送る。ここの一連のシーンでジェナの愛を偽装した演技は絶妙だ。しかし、最後までバーニーに本物を渡してしまったことに気がつかないジェナであった。