スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館



エピソードガイド7



160 暗殺目標変更! The Question
【目的】敵側の殺し屋の身柄を奪い、彼が本当に亡命したいのかその真意を突き止めること
【指令】おはよう、フェルプス君。 このほどわが国で捕まった暗殺のベテラン、ニコラス・ヴァーシーは、亡命の意思を表明してはいるが入国の目的について は口を閉ざして語ろうとしない。一方彼を捕らえたFISつまり連邦情報局は、敵の諜報工作に侵されている形跡があり信頼できない。
 そこで君の使命だが、密かにFISの手からニコラス・ヴァーシーの身柄を奪い、果たして彼は亡命したいのかそれとも亡命を装ってスパイ活動をするつもり なのかその真意を突き止めることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。な お、このテープは自動的に消滅する。 成功を祈る。
【スタッフ】
脚本: ステファン・カンデルStephen Kandel
製作: バリー・クレーンBarry Crane
監督: レスリー・H・マーティンソンLeslie H Martinson
【ゲスト出演】
アンドレア:エリザベス・アシュレイElizabeth Ashley as Andrea
ニコラス・ヴァーシー:ガリー・ロックウッドGary Lockwood as Nicholas Varsi
ネルソン:ジェイソン・エヴァースJason Evers as Ben Nelson
コールマン:リチャード・ヴァン・ヴリートRichard Van Vleet as Coleman
ダグラス署長:ジョージ・オハンロンGeorge O'Hanlon as Captain Douglas
ベルデン:ジョン・ベーアJohn Baer as Belden
ジェームソン:デューク・S・ストラウドDuke S. Stroud as Jameson
付添人:ポール・リャンPaul Ryan as Attendant
【場所】@指令(媒体):あるビル屋上で、こんなアンテナじゃ心細いと男に言い、脚立の上に置いてあるオープンテープレコーダーを聞く
A舞台:アメリカ国内
【役割】ジム:偽警官→スミス(KGFのチーフ)
アンドレア:看護婦→FISの手先
バーニー:救急車運転手
ウイリー:偽警官
【道具】@時限爆弾
A嘘発見機
B催眠針
C発信機
【見所】(01分30秒)連邦情報局が踏み込んだところで、ヴァーシーは亡命をしたいと申し出る
(05分40秒)バーニーがヴァーシーのいるホテルに爆弾を投げ込み、偽警官のジムとウイリーが入る
(11分50秒)ヴァーシーを乗せた救急車がFISから逃走する
(22分40秒)亡命は本当かもしれないと言うアンドレアに、バーニーは嘘発見器ではどっちとも取れないと言う
(25分00秒)FISの手先であるアンドレアを殺せとジムが指示し、引き金を引くヴァーシー
(28分40秒)アンドレアを車のトランクに押し込め、電磁電波探知機を購入するヴァーシー
(30分40秒)電磁電波探知機を自分の襟にあてて発見して、発信機を捨てるヴァーシー
(33分40秒)アンドレアの髪飾りが発信機と気がつくヴァーシーは、髪飾りを踏みつける
(39分40秒)部屋に入ってきたのはFIS取調官ネルソンで、ケマー大佐ということが判明する
(44分00秒)ジムがビルの壁を登り、アンドレアがテーブルを蹴った瞬間にジムがケマーを押さえる
【疑問点】@FISの取調官がKGFのケマー大佐ということは、FISは敵の組織であったのか?
【粗筋】ニコラス・ヴァーシーはKGFのトップクラスの殺し屋であるが、アメリカへの亡命の意思が本当かどうかを確認するのが任務であり、手強いぞとジムは メンバーに告げる。まず、バーニーがFISの取り調べに使っているホテル跡に爆弾を投げ入れ、その隙にジムとウイリーが偽警官として入り、ニコラス・ヴァー シーを催眠針で眠らせてウイリーのマスクを被せる。そして、爆発騒ぎでウイリーが怪我をしたと見せかけ、救急車で堂々と逃げようとするが、気づかれてコ ールマンに追跡されてしまう。ウイリーはパトカーから降り、ドラム缶を多数落として進路を塞ぎ、救急車は無事逃げ切るのだ。目を覚ましたヴァーシーを取り 調べるジムは、KGFのアメリカにおける責任者として、暗号名アルファ・ベータ、合い言葉は生きるべきか死ぬべきか、それが課題だと言って、ヴァーシーを 信用させようとするが、KGFのケマー大佐からの任務の内容をジムが聞いても答えず、亡命についても捕まったからやむを得ずと弁解するのだ。これは罠じ ゃないかとヴァーシーは疑い、時間をくれと頼む。そして、アンドレアが拷問を受けているのをヴァーシーに見せ、一緒の監房に入れて、二人はお互いに好意 を持ちキスをする仲になる。嘘発見機で会話の様子を記録しているバーニーであるが、アンドレアがあの様子だと亡命は本当かもしれないと言うと、バーニー は嘘発見機ではどっちとも取れると返事する。そして、FISの手先であるこの女を殺せというジムの指示で、銃の引き金を引くヴァーシーだが、弾が入ってお らず、ジムがテストは合格と告げてヴァーシーを釈放する。ジムは亡命する気ならFISに彼女を連れていき、亡命する気がないなら彼女を殺すだろうと推測す る。途中でヴァーシーはアンドレアを車のトランクに閉じ込め、電磁電波探知機を購入し、自分の襟にあてて発信機を捨ててしまう。そして、ガソリンスタンドで アンドレアが発信機のスイッチを入れると、それも見破ってしまい、ジムはお手上げだ、ヴァーシーが亡命してくれることを祈ろうと弱気になる。ホテルの部屋 に入ってアンドレアを縛り、ベッドに寝かせておとなしくしていろと指示するヴァーシーだが、隙を見てアンドレアが電話でモールス信号をジムに送る。ジムは アンドレアが北カーゴの227にいるとバーニーにも無線で連絡を取る。そして、ヴァーシーの部屋に入ってきたのは、FISの取調官のネルソンで、実はケマー 大佐であることが判明する。ヴァーシーがケマー大佐に銃を向けると、ライフルは芯が曲がっていると反対に大佐はヴァーシーを撃ってしまう。そして、暗殺目 標変更となり、犯人はニコラス・ヴァーシーで、それを殺害した自分は勲章者だと告げる。標的の男にライフルを向けた大佐に、アンドレアはテーブルをぶつ け、ジムは窓から大佐に飛びかかって取り押さえるのである。救急車に運ばれるヴァーシーに、"すぐよくなるわ、亡命は本物だったのね"とアンドレアが励ま すと、"誰なんだ、あんたは何者だ?"と聞くヴァーシーに、"それだけは明かせない"と答えるアンドレアだった。
【解説】今回のIMFの任務は、敵の殺し屋ヴァーシーがアメリカへの亡命を表明しているが、亡命が本当かどうかその真意を探るというものである。ヴァーシ ーが一筋縄ではいかない人物として描かれ、彼の行動に振り回されるIMFの苦悩が面白く描かれている。また、「暴力協同組合」でゲスト出演したエリザベ ス・アシュレイがIMFの協力者として再登場する。私が初めて本エピソードを見た時、「暴力協同組合」でのアル中の彼女の演技が強烈だったため、彼女が アル中から更生してIMFに協力しているのかと思ったが、全く違う人物のアンドレアという設定である。
 FIS(連邦情報局)で監禁されているヴァーシーを救う時のIMFの作戦が面白い。バーニーが建物の中に爆弾を投入し、その隙にジムとウイリーが偽警官と して建物の中に入る。そして、ヴァーシーを催眠針で眠らせてウイリーのマスクを被せ、次の爆発騒ぎで警官ウイリーが大怪我を負ったと見せて堂々と救急 車で逃げるのだ。
 目を覚ましたヴァーシーに対して、ジムは彼の国のKGF幹部として訊問をする。ヴァーシーはアメリカに捕まってやむを得ず亡命したと尤もらしい理由をつけ る。また、アメリカにおける任務の内容を聞いても、直属の上司のケマー大佐しか答えられないと拒否する。そして、監房に入れてアンドレアとの会話を嘘発 見機で分析しても見事にかわしてしまい、ジムはアメリカのFISの手先アンドレアを殺せと命じると、ヴァーシーは引き金を弾いてしまう。断定しかねるIMFは ヴァーシーを釈放し、亡命する気ならアンドレアをFISに引渡し、亡命する気がないならアンドレアを殺害するだろうという危険な作戦を取る。そして、発信機を 二人につけていたがいずれもばれてしまって追跡不能となり、ジムにしては珍しくヴァーシーが亡命してくれることを祈ろうと弱気になってしまう。
 フィナーレでは、FISの取調官が実はKGFのケマー大佐だったということで、完全にアメリカ側の組織に敵の人物が潜入していたことが明らかになる。ケマ ー大佐は暗殺すべき人物を殺害した後、ヴァーシーを殺してその濡れ衣を彼に着せようと企んでいたのだ。それにしても、ヴァーシーは恐らく西側の人物を多 数殺したのだろうが、亡命によってそれらの罪は問われないのだろうか、疑問が残る。


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