エピソードガイド７ - スパイドラマ倶楽部別館

スパイドラマ倶楽部・別館-スパイ大作戦専門館

エピソードガイド７

162 戦慄"殺しの横顔" Movie

【目的】シンジケートの不正な金を詳細に記した記録を入手し、シンジケートに壊滅的打撃を与えること
【指令】おはよう、フェルプス君。　ノーマン・シールドはレジャー産業にくい込む大手犯罪勢力の尖兵であり、そのための工作資金をシンジケートのボス、ベンジャミン・ディーンにあおいでいる。最近ディーンは一千万ドルを出してパンテオン撮影所を乗っ取らせたばかりであり、二・三日中にその弟テオがロサンゼルスに飛び同撮影所を取りしきる予定である。
　そこで君の使命だが、シールドが持っていると思われる、シンジケートがその方面にいかに不正な金を使っているかを詳細に記した記録を入手し、シンジケートに壊滅的打撃を与えることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。　成功を祈る。
【スタッフ】
原案: アンソニー・ボウワーズAnthony Bowers
脚本: アンソニー・ボウワーズ＆アーサー・ウェイズ＆ステファン・カンデルAnthony Bowers, Arthur Weiss & Stephen Kandel
製作: バリー・クレーンBarry Crane
監督: テリー・ベッカーTerry Becker
【ゲスト出演】
ノーマン・シールド：ジョン・ヴァーノンJohn Vernon as Norman Shields
ベンジャミン・ディーン：デヴィッド・ブライアンDavid Brian as Benjamin Dane
ジョン・ブレント：ウィリアム・スミスWilliam Smith as John Brent
テオドーア・ディーン：ローデス・リーズンRhodes Reason as Theodore Dane
ヘンリー・パッカード：ダグラス・ヘンダーソンDouglas Henderson as Henry Packard
ヒース：ジェームス・ウィットワースJames Whitworth as Heath
ジャック・ウェルトン：リー・ファーLee Farr as Jack Welton
バー：ロン・ピンカードRon Pinkard as Barr
ディヴ・ウォーレー：ウォーカー・エドミストンWalker Edmiston as Dave Waley
ダニエル・モア：ジェリー・ダグラスJerry Douglas as Daniel Moore
スチュワーデス：ジョアンナ・カシディJoanna Cassidy as Stewardess
【場所】①指令（媒体）：ハツカネズミのいる研究室の引き出しからオープンテープレコーダーを取り出す
②舞台：ロサンゼルス
【役割】ジム：テオ・ディーン
ミミ：カレン・バンス
バーニー：トニー・サンダース
ウイリー：機内でテオ・ディーンを運ぶ→空手家
ディヴ・ウォーレー：ベンジャミン・ディーンの声帯模写→テオ・ディーンの声帯模写
【道具】①シールドの銃と同型の銃：自動発射装置つき
②催眠針
③電話交換機
【見所】（01分50秒）撮影所のパッカード社長に明け渡しの署名をさせた後、転落死させる
（08分30秒）飛行機の中でパンテオンの関係者と名乗り、ミミに名刺を渡すテオ・ディーン
（11分50秒）ジムがテオに催眠針を刺し眠らせ、ジムがテオ・ディーンになりすます
（14分00秒）テオ・ディーンに場内アナウンスが入り、ジムが公衆電話を取ると切れてしまう
（16分20秒）ベンジャミン・ディーン宛の電話を盗聴するＩＭＦは、ダニエルが連絡したらと心配する
（19分40秒）ダニエルがジムを襲いミミが車で突っ込み、さらに警備員のヒースがダニエルを射殺する
（27分20秒）ジムが爆弾はカメラに仕込んであると連絡し、バーニーは皆を外に出したところで爆発する
（29分40秒）ウイリーがシールドを空手で殴り倒し、その隙に銃をすり替える
（33分10秒）ジムがシールドを撮影所に呼び、銃が自動発砲してジムが死に、それをバーニーが撮影する
（35分00秒）テオを殺してしまったことをブレントに告白し、社長に推薦すると丸め込もうとする
（42分50秒）映画のシーンはシールドがテオを射殺するところで、声はすり替えてある
（44分10秒）金の出し入れを記録したものを出せと言われ、時計を差し出すシールド
【疑問点】①ジムがダニエルに襲われ、ミミが車で突っ込んで防波堤になるが、狙撃されて本当に危なかったのでは？
【粗筋】ベンジャミン・ディーンの弟テオ・ディーンは、一味が乗っ取ったパンテオン撮影所の所長としてノーマン・シールドのところに出向く。バーニーは映画監督として"殺しの横顔"を無名の女優カレン・ハンス（ミミ）を起用して撮影すると言ってブレントに挨拶をする。バーニーは脚本などなく、即興で撮影すると説明する。飛行機内では、テオ・ディーンはミミが女優でパンテオンの撮影所に行くことを知り、自分はパンテオンの関係者と名乗ってミミに名刺を渡す。空港に到着すると、ジムはテオ・ディーンに催眠針を刺し、ウイリーがテオをキャビネットに隠して、ジムがテオ・ディーンになりすます。空港のロビーでは、バーニーとブレントらがミミとジムを出迎え、ずっとテオを尾行していた男は、テオが飛行機から出てこないのを不審に思い、機内を捜索するが見つからず、テオ・ディーンの場内アナウンスを頼み、ジムがテオに扮しているのを見破ってしまうのだ。その後、男はベンジャミン・ディーンに電話をかけ、それをＩＭＦは盗聴してメンバーのウォーレーの声帯模写で対応する。そして、乗客名簿とビバリーサンセットホテルの名簿から、その男がベンジャミン・ディーンの用心棒ダニエル・モアと判明する。その後、ダニエルはジムを襲い、ミミが防波堤になろうと車を突っ込ませるが、フロントガラスが銃弾により粉々に砕け、警備員のヒースによってダニエルは射殺される。スタジオでは"殺しの横顔"の撮影が始まるが、自分のことを主人公にしていることに気づくノーマン・シールドは映画化に猛反対し、ベンジャミン・ディーンに連絡を取る。ベンジャミン・ディーンは癌を取り除けばいいとアドバイスを与えるが、弟には手を出すなと釘を刺す。この後、ＩＭＦが電話を切り替え、シールドからバーニーの殺害方法を爆破と聞き出すのだ。そこでジムはカメラに爆弾が仕掛けてあるとバーニーに伝え、バーニーは撮影がうまくいかないので一人で考えたいと叫んで、皆を無事に外に追い出した後に爆破が起こるのだ。一方、ウイリーはシールドと空手の練習相手を勤めてシールドをノックアウトした隙に、シールドの銃をすり替える。そして、ジムはシールドを撮影所に呼び、銃が自動発射されジムが死んだように演出し、バーニーはこの模様を撮影するのだ。その後、本物のテオ・ディーンを寝かせて仮死状態にして警察に連絡を取る。シールドはブレントにテオ殺しを告白するが、ブレントを後任の社長に推薦すると含みを持たせ、自分は一切この件に関係ないことにしようとするが、そこへミミが現れて現場を見てしまい、ベンジャミン・ディーンに連絡を取ったと言うのだ。早速、ベンジャミン・ディーンが来て、シールドははずみでやってしまったと弁解するが、ミミを呼べとベンジャミンが言い、ミミはテオ殺しの犯人はシールドで、ミミは"テオを愛していた、敵を討って下さい"と頼む。早速、映画のフィルムが見たいと言うベンジャミンに見せられた映画のシーンは、シールドがテオを射殺するところで、言い逃れはできない、組織を裏切ったことは許されない、金は用意するから外国に行け、そして、金の出し入れを記録したものを出せとベンジャミンが言う。すると、シールドは時計を差し出し、マイクロフィルムがあると教えると、その頭が命取りになると手下を残し、撮影所から出てきたベンジャミンにジムは銃を突きつけ、シールドの時計をもらおうかと言うのであった。
【解説】このエピソードにおける"殺しの横顔"とは映画のタイトルのことで、バーニーが監督、ミミが主演女優を務めるという触れ込みで製作が行われるが、実は、敵を陥れる巧妙な罠として用いられる。今回のＩＭＦの任務は、不法に映画会社を乗っ取ったシンジケートの不正なお金の流れを記載した記録を入手して、シンジケートに大きな打撃を与えるというものである。
　シンジケートのボスであるベンジャミンの弟テオが、撮影所の所長としてやってくることにＩＭＦは目をつける。飛行機が空港に到着すると、ジムがテオを眠らせてキャビネットに隠した後、ジムがテオになりすますのだ。しかし、ベンジャミンの指示でテオを尾行していた人物に気がつかず、ジムが撮影所で襲われてしまうのだ。この時のミミが自分の命も顧みず、ジムをかばおうとフロントガラスを銃弾で割られながらも車を突っ込ませる果敢な行動をとるのは、視聴者の目にも焼きつくような見事なシーンである。
　スタジオでは"殺しの横顔"の撮影が始められるが、自分のことが主人公にされていると気がつくシールドは、撮影に反対してベンジャミンに連絡を取る。ところが、ＩＭＦメンバーがベンジャミンになりすましてバーニーを爆破して殺すことを聞き出す。さらに、ウイリーがシールドの空手練習の相手を勤め、シールドが気絶した隙に銃をすり替える。そして、ジムはシールドを撮影所に呼び、銃が自動発射されてジムがシールドに殺されたように偽装し、それをバーニーが撮影するのだ。
　ラストシーンでのミミから連絡を受けてやってきたベンジャミンとシールドのやりとりは面白い。"殺しの横顔"の映像フィルムを見終わったベンジャミンは、金をやるから外国に行けとシールドに告げる。そして、金の出し入れの記録を出せとベンジャミンが命じると、シールドは何の疑いもなく時計を差し出して中にマイクロフィルムがあると教えると、掌を返すように態度を変えて、ベンジャミンはその頭が命取りと言って手下にシールド殺害を指示するのだ。最後には、ＩＭＦがそのベンジャミンの悪知恵をさらに上回ることをしてみせるのであった。